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Hiromi YUASA
Reporter
Hiromi YUASA

Nationality: Japan
Course: Painting and Drawing
Program: Master Course
Period: Jan. 15, 2018 - Jul. 27, 2018

イタリアの祭壇画で使用されている黄金背景テンペラを学ぶためにフィレンツェに来ました。フィレンツェは街自体が美術館で、またルネッサンス発祥の地でもあるため、学ぶべき、見るべきオリジナルの作品がすぐ近くにあるので本当に素晴らしいです。こちらに来て4ヶ月目になりますが、たくさんの美術館や教会に行きました。またフィレンツェはイタリアの中央に位置しているため、違う都市へのアクセスもよく、すでにヴェネチア、シエナ、ルッカなど様々な都市に美術品を見に行きました。フェレンツェは職人の街で、古くからの手仕事を大切にしている所が大好きです。
日本ではアニミズムをテーマに作品を描いており、今回学ぶ技法を自分の作品に生かしたいと思っています。

Apr. 19, 2019 | Posted in Reports, Painting and Drawing , | Tags:, Reporter: Hiromi YUASA | Course: Painting and Drawing

Painting-Drawing 18-Master Course 2018 (Student2)

授業1 Painting
今週から、ジャンティーレ・ダ・フェブリアーノ作品「マギの礼拝」の部分模写を始めました。先週、ウフィツィ美術館に写真を撮りに行ったので、データ処理を行い、オリジナルと同じサイズの部分模写をします。この作品は、金箔や銀箔など、Doraturaの様々な技法を使っています。箔の装飾部分が前回の模写より難しいです。どこにどの箔置き技法が使用されているかを確認しながら、下絵を作成しています。
自宅では、支持体作りをおこなっています。金箔の作品は石膏を厚く塗るので、2cmほどの厚みのある無垢材を使用します。15世紀の昔と同じです。木材に節目があるので、麻布を貼る処理を行います。この後にStuccoを塗りますが、来週行います。Doraturaの技法は、こうした地道な下準備が多くあります。

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授業2 Restauro
“Restauro”修復の工房での実習授業。
【金箔の貼り方についての実習】
今週はStuccoにヤスリがけ仕上げをしたものに、missioneという、現代のやり方で箔を貼りました。Stucco仕上げをせず、木に直接貼るものも以前に作っているので、その仕上がりの違いを見ることもできます。

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先週作ったBoloの色見本の仕上げを行いました。磨きには、極細の金綿を使用します。
Doratura a Gazzoの古典の箔貼り方も、箔置きの作業に入りました。Boloの上に膠水を置いて、すぐに箔を置きます。今回は本銀、偽銀に、Boloを磨いたところ、そのままのところと仕上がり具合の違いがわかるように見本を作っています。今後のため、技法、素材の違いが一瞥比較できるようにするためです。何の箔を使うかによって、膠の濃度も異なるので、色々と細かく学べてとても充実しています。

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【Reliquiariなどの金箔作品の修復】
今回も先週に引き続きReliquiariの修復で、先週学んだ基本溶剤での掃除を行いました。
しかし、それ以外にも、汚れがひどい時にはどうするかを実戦で学びました。汚れや使用材質によって掃除の基本溶剤をアルカリ性にしたり、酸性にしたりと調整して行います。その溶剤の作り方や、PHの測り方、注意点を教わりました。

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1500年代の絵の一部であった額縁のような下部分の掃除をその溶剤でしました。先週とはまた違うやり方です。掃除を行うと、汚れすぎて、ただの木だと思っていた部分から、金箔が出てきました。また、掃除したことによって、過去の修復部分や、本金、偽金部分などの判別ができました。

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Art Vist
毎週金曜日のArt Vistの授業。5月25日は “Chiesa di Sant’Egidio”“サント エジディオ教会”。Santa Maria Nuova病院の中にある教会で、観光客は訪れないが、フィレンツェの美術史においてとても重要な意味をもつ場所である教会だそうです。今回初めて知りました。フィレンツェで古くからある現在でも大きな病院なので気がつきませんでした。
元々は地域の慈善的活動を行っていたロマネスク修道院の一部であったこの場所に、ダンテの作品や逸話に出てくるモデルの一人となった、ベアトリーチェの父親、フォルコ・ポルティナーリFolco Portinariが1289年頃に資金を投資して、大きくしました。彼のお墓はここにあります。
現在ウフィッツィ美術館にある、フランドルの画家ヒューホ・デル・グース[Hugo Van der Goes]のポルティナーリのトリプティク(三対祭壇画1477〜78頃制作)がここの主祭壇に置かれていました。これは、国際ゴシックで知られるロレンツォ・モナコの「マギの礼拝」(同じくウフィツィ美術館所蔵)などにも影響が見られ、他にも、ドメニコ・ギルランダイオやボッティチェリなど多くのルネッサンス期の画家たちに影響を与えました。このポルティナーリのトリプティクからフランドルの描き方を学んだとされるからです。そのため、この教会は、ルネッサンス期のフィレンツェにおけるフランドル技法の発信地の一つとして重要なポイントでした。

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内部には、ドメニコ・ヴェネツィアーノ、若きピエロ・デッラ・フランチェスコ、アンドレア・カスターニョ、アレッサ・バルドヴェネッティの作品があったが、現在は失われています。アンドレア・カスターニョやヴェネツィアーノのフレスコ画のシノーピアは、別の場所(サンタ・アポロニアの博物館)に現在あります。16世紀の終りに建築家Bernardo Buontalentiによって内部が修復。主祭壇に向かう、階段には波のような彼のデザインの特徴を見ることができました。
現場を直接見て昔の建物が病院として使われ、なお、生死を扱う場所に教会があることは、西洋においては不思議ではないことに納得しました。また、私が授業で模写した作品に影響を与えた場所でもあったので、とても興味深い授業でした。

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