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2013年11月12日 | Posted in ソムリエ研修, イタリア料理シェフ養成コース | Tags:
ANTINORI

ANTINORI 10月30日

フィレンツェの中心からバスで約1時間程のBargino。ここは正しくキャンティ・クラッシックの地。今日はシェフコースの学生さん達と一緒に、2013年1月2日にオープンしたばかりのAntinoriの新しいワイナリーの見学に来ました。

 

ワイン好きの方なら、キャンティーワインをご存知かと思いますが、そうでない方に、ちょっとご説明します。
キャンティーワインとは、フィレンツェとシエナの間にある、穏やかな丘陵地帯キャンティー地区で栽培されたトスカーナ州原産のサンジョベーゼ種を主体としたワインです。

 

このワイナリーは、丘に埋まっています。自然の丘から一旦土を掘り出した後、ワイナリーの温度に適した13~16度になる位置を選び、その斜面にワイナリーを埋め込んで建設してあります。その後土を戻し元の丘を再現。その丘を覆うようにブドウのサンジョベーゼ種が栽培されています。まるでUFOが丘に埋め込まれているかのように見えます。
つまり、このワイナリーでは地中の天然の涼しさでワインの醸造・保管をしているそうです。
建築家はフィレンツェのMarco Casamonti。構造は鉄骨、壁や床などはテラコッタ、木、コールテン鋼(表面の錆が保護膜となり内部まで腐食しない)、ガラスが使われています。
1階部分の入り口からワイナリーに入ると、そこは丘の下に位置するので、すぐにひんやりしているのが感じられます。
壁は地熱の影響を受けにくいよう、地面に接触しないように作られています。これだけ広い部屋のほぼ全面がテラコッタで覆われていることに、学生さん達もトスカーナらしさを感じ感動している様子でした。
今年のワインは既に樽に詰められ、今日はステンレスの大きな搾汁機を洗浄する作業が行われていました。

 

この蔵でつくられているワインはVILLA ANTINORI CHIANTI CLASSICO、MARCHESE ANTINORI CHIANTI CLASSICO RISERVA、PÈPPOLI CHIANTI CLASSICO、VINSANTO DEL CHIANTI CLASSICOの4種類。
ワインの商標には尊敬を込めて栽培された土地やブドウ園の名前が付けられています。

 

階段を3階分上がると、ワイナリーの屋上に出ます。
ワインは自然に13〜16度に気温が保たれる地下で熟成、保存されていますが、逆にVINSANTOは地上の風通しの良い部屋に保管されています。適度な風による乾燥で、ぶどうの甘みが凝縮されて、今人気の甘いブドウのお酒が熟成されていきます。樽はハンガリー産の目の詰まったオーク材を使用し、甘いお酒を香り高く仕上げていきます。
ANTINORIの蔵ではオリーブオイルも製造しており、以前使われていた大型のテラコッタの壷も保管されています。(現在は衛生面からステンレスの機械に変わっています。)

 

もう一度階段を下り、ワインの樽がずらりと並ぶ様子を見ながらワイナリーを縦断すると、ANTINORIの歴史を紹介する博物ブースへ出ます。ANTINORIの家系図やアンティークな木製の大型機械などが展示されており、キャンティーワインの歴史とこのファミリーの深い関わりを見ることができます。

 

ガラス張りのワイナリーを見渡すことのできるテイスティングルームでは、3つのワインのテイスティングができます。ガイドの方が1つずつ丁寧にどのぶどうがどれくらい使われているか、特徴など説明してくれます。
テイスティングする時は次のワインを試す前には、呼吸するなどして5分くらい間を置いた方がいいそうです。
VILLA ANTINORI BIANCOはトレビアーノ+マルヴァジーア50%、ピノ・ビアンコ+ピノ・グリージョ35%、ライン・リースリング15%。桃や青リンゴなどの甘いフルーティーな香りと、レモンなど柑橘系の香りが感じられる。しかし口に含むと、ドライな口当たりで、まるで別のワインかのように香りと味のコントラストが楽しめます。甘い香りは主にリースリングが入っているからです。魚介のパスタや料理にぴったりです。
PÈPPOLI CHIANTI CLASSICO SSICOはサンジョベーゼ90%、メルロ+シラー10%。スラベニア産のオーク材で9ヶ月熟成、瓶に入れた後4ヶ月熟成したワイン。
フルーティーな香りと裏腹に、かなり若々しいタンニンの存在感が強く、口に含んだ時舌先でパッとアグレッシブさを感じます。熟成が浅いのでタンニンの粉っぽさがあります。そのため、色は鮮やかなルビー色をしています。サラミや生ハム、チーズなどの前菜、肉料理やミートソースパスタにも合います。トスカーナ独特のワインで、PÈPPOLIフドウ園で採れたブドウを使用しているので、PÈPPOLIと命名しました。

 

MARCHESE ANTINORI CHIANTI CLASSICO RISERVA、2010年もので発売されたばかり。サンジョベーゼ90%、カベルネ・ソービニョン10%。フランス産、ハンガリー産の樽で14ヶ月熟成し、瓶詰めして12ヶ月成熟しました。スミレの香りとミントやタバコのアロマも感じられます。
成熟期間が長いので、デリケートで絹のような舌触り、舌先ではなく口の奥で味わいが感じられ、その余韻が長く続きます。サンジョベーゼのタンニンをカベルネ・ソービニョンがまろやかにしている訳です。ゆっくり時間をかけて熟成しているので、ルビー色に少しオレンジ色味がかった色をしています。フィオレンティーナと良く合います。

 

シェフコースの学生達は、特にテイスティングには興味津々でした。テイスティング・ルームに入るなり、テイスティングするワインの写真を撮ったり、通訳さんの解説を注意深くメモしたり、ワインの色をライトの下で確認したり、実際のワイナリーでの体験を満喫していました。
今回のガイドさんは見るからにワインに対する情熱があり、テイスティングの時にとても上手に説明してくれたので、それぞれのワインの魅力がより一層引き立てられているように感じました。

 

蔵にはレストラン「RINUCCIO」も併設しているので、キャンティの土地でトスカーナ料理とANTINORIのワインが堪能できます。

 

ANTINORI家はイタリアワイン界の名門で、そのワインビジネスは1385年に始まり600年を超える歴史があります。26代目のピエロ・アンティノーリは、従兄弟の造る「サッシカイア」の誕生にもかかわり、自らのキャンティ・クラシコ地区の畑ではあのスーパータスカン「ティニャネッロ」と「ソライア」を誕生させました。これらのワインはカベルネ・ソーヴィニヨンなどフランス系のブドウ品種をフランス産の小樽で醸造したもので、スーパー・ヴィーノ・ダ・ターヴォラと呼ばれるワインの先駆けとなりました。
現在はイタリア全土に10以上のワイナリーを所有し、その規模はイタリア最大級です。 現当主ピエロ・アンティノーリは3人の娘達アルビエラ、アッレグラ、アレッシアと共に世界的スーパートスカーナの伝統を重んじ、革新し続けています。

ANTINORI

ANTINORI入り口。上部に見える茶色いのがワイナリーです。

 

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まるでホテルのようなレセプション。

 

ANTINORI

さて、いよいよ見学のスタートです。まずANTINORI家の紹介や建物の説明を聞きます。

 

ANTINORI

樽に詰められ熟成中のワイン。

 

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ステンレスの搾汁機。

 

ANTINORI

ワイナリーから3階分階段を上り、地上に出る。

 

ANTINORI

オリーブオイルを作っていたテラコッタの壷。現在は奥にあるステンレス製の機械で作ります。

 

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レストラン「RINUCCIO」

 

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甘いワイン「VINSANTO」が熟成されている地上の部屋。

 

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この茶色の扉から収穫されたブドウが搬入されます。

 

ANTINORI

博物ブース。見事なアンティークの機械が展示されています。

 

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ワイナリーを見渡せる、テイスティング・ルーム。

 

ANTINORI

ANTINORIで製造されるワインの数々。

 

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VILLA ANTINORI BIANCO

 

ANTINORI

併設するショップではANTINORIで製造される全てのワイン、ワインに関連するグッズも豊富に取り揃えてあります。

 

ANTINORI

 

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